

ギフトがケーキ類で、しかも「これはわが家の近所でちょっと評判のものなのよ」などといわれた場合は、たぶん相手もそれが好物で、自信を持って土産に選んだに違いない。親しい間柄の人なら、こうした食べ物の場合、「お持たせですけど、ご一緒にいただきましょう」と、もてなしの品として出したほうがいい。たとえ自分が用意したお菓子があっても、お土産のほうを出すこと。「せっかく持っていったのに、出してくれなかった」なんて残念な思いを、相手にさせないほうがいい。そして「おいしい」という褒め言葉が何よりのお礼になる。あるいは、客のギフトが、花束ということもあるだろう。このときは、いただいたらすぐ下げて水切りしてバケツにつけておきたくなるが、せっかくだからすぐに飾ったほうがいい。それが、持ってきてくれたお客さんへのお礼にもなる。しばらく時間をもらって花束を処理し、お客さんを招いた部屋にすぐ持っていこう。そのあとお客さんからよく見える位置に、ふさわしい花びんに生けて置いておけばいいだろう。
鯉のうま煮は米沢名物だけど、高価でクセも強いので贈る相手を選ぶでしょう。でも、ふりかけであれば値段も手頃なうえに、年齢を問わず美味しくいただけるのでは」とYさんはいう。鯉こくをベースに生姜、胡麻、梅干しなどを入れて顆粒状になるまでじっくり炒り上げる。ご飯にふりかけても、お湯を注いで鯉こくスープにしても楽しめる。『ふきのとう味噌』はいつ食べても飽きがこない「郷里の味」。「雪深い大地に春の訪れを知らせるのがふきのとうなんです。川辺に出た芽を見つけては喜んだものです」山形県南西部に位置する飯豊山の雪解け水で育つふきのとうを、当地に伝わる調理法で風味豊かに仕上げている。ほろ苦さのなかにも独特な香りが絶妙。酒の肴や握り飯の具としても用途は幅広い。そして最後は『餅の詰め合わせ』。Yさん曰く「シンプルにそのまま焼いても美味しいんだけど、我が家ではふんわりとまるく油で揚げて、大根おろしや納豆とあえて食べるのが定番で、これがもう絶品」だそう。ヒメノもち100%使用で玄米、よもぎ、味噌、薬膳(4種類)など全9種類。噛むほどに米の風味が口いっぱい広がり、素朴な旨さが食材へのこだわりを物語る。「贈った方がご両親や知人に食べさせたいと、自ら追加注文されることが多い」ようで、Yさんはそれが何よりうれしいそうだ。是非、内祝いの品として、周りの人に喜びのおすそ分けをしてもらいたいものだ。
今はもうあまり見かけなくなった光景だが、近所づきあいの一つに「お豆をたくさん煮たから」とか、「田舎から届いた栗をゆでたので……」といったおすそ分けがある。そして、お鉢や皿に盛られた状態でいただくものには、「おうつり」と称するお返しの品を添えるのが風習だった。たとえば、マッチや半紙のような、紙や火に関するものが、この「おうつり」の定番とされる。もちろん、器はきれいに洗って返した。今では、こうしたこだわりは少なくなってきたが、やはりからっぽの器を返してはいけない。もしおすそ分けをいただいたら、半紙を現代風におきかえて、ペーパーナプキンやペーパーコースターのような気の張らない小物を添えて返すといい。